2025.05.04
「遺言書さえあれば、相続はもめない」──本当にそうでしょうか?
実際の相続の現場では、遺言書があるにもかかわらずトラブルになるケースが少なくありません。
今回は、遺言書があるのに相続でもめてしまう原因や、そうならないための対策について解説します。

全部長男に相続させるって書いてある遺言書でも、ダメなの?

遺言書に書かれていても、最低限の取り分=遺留分を奪われた相続人は「遺留分侵害額請求」ができます。
たとえ有効な遺言書であっても、法定相続人の遺留分(最低限の取り分)を侵害している場合は、もめる原因になります。
遺留分は以下のように定められています:

「家は長男が相続すること」って、それだけでいいの?

曖昧な表現では、解釈の違いで争いになります。住所や登記情報を正確に記載するのが重要です。
不動産の所在地が不明確だったり、「家族仲良く分けること」といった抽象的な表現では、解釈を巡ってトラブルが生じやすくなります。
具体的かつ明確な表現を心がけることが、遺言書のトラブル防止には不可欠です。

自筆遺言書は形式のミスで無効になるケースが多いので注意が必要です。
遺言書の形式には法律上の厳格な要件があります。
特に自筆証書遺言では、以下のような不備が無効の原因になります:
せっかくの遺言書も、無効になれば法定相続通りとなり、家族間のトラブルを招きかねません。

母が亡くなる前、兄とばかり話してたのが引っかかるんだよな…

相続には感情のもつれがつきものです。内容が正しくても、納得できない人がいると揉めてしまうことがあります。
相続トラブルの多くは、実は「お金」よりも感情や不信感から発生します。
たとえば:
こうした感情の亀裂が、相続をきっかけに表面化するのです。
遺言書は、相続のトラブルを防ぐための第一歩にすぎません。
本当に円満な相続を実現するには、法的な正確さとともに、家族への思いやりと伝え方が大切です。
遺言書の作成・内容検討に不安がある方は、ぜひ私たち専門家へ相談を。