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2025.12.08

標準報酬月額決定通知書とは

【保存版】標準報酬月額決定通知書とは?見方から常勤証明としての活用法、高齢者の扱いまで徹底解説

秋口になると会社から渡される一枚の書類、「健康保険・厚生年金保険被保険者標準報酬決定通知書」。
名前が長くて難しそうですが、実はあなたの「手取り額」や「将来の年金額」が決まったことを知らせる、非常に重要な書類です。

「給与明細を見ればわかるから捨てていい?」
「この書類、なんの役に立つの?」

そんな疑問をお持ちの方へ、今回はこの通知書の基本的な見方から、ローン審査や転職などで使える「常勤証明」としての実務的な価値、さらには高齢社員の扱いまで詳しく解説します。

この記事でわかること
  • 自分の社会保険料がどう決まっているか(標準報酬月額の仕組み)
  • 通知書がいつ届き、何を確認すべきか
  • この書類が「正社員・常勤」の強力な証明になる理由
  • 70歳・75歳を超えた社員への通知書の変化

1. そもそも「標準報酬月額」とは何か?

社会保険料(健康保険・厚生年金)を計算する際、毎月の給与額を1円単位で計算に使うと事務処理が非常に複雑になります。そこで、給与を一定の幅(ランク)で区切ったものが「標準報酬月額」です。

  • 健康保険: 第1級(5万8千円)~第50級(139万円)
  • 厚生年金: 第1級(8万8千円)~第32級(65万円)

通知書には、あなたの給与がどのランクに該当したかが記載されています。このランクに、各都道府県ごとの保険料率を掛けて、毎月の天引き額が決定されます。

2. 通知書が届くタイミングと3つの理由

この通知書が発行されるタイミングは、主に3パターンあります。

① 定時決定(年に1回の定期便)

最も一般的なのがこれです。毎年9月〜10月頃に届きます。
社会保険料は、「4月・5月・6月」の3ヶ月間に支払われた給与の平均額をもとに、その年の9月から翌年8月までの1年間のランクを決定します。

※4〜6月に残業が多かったり、通勤手当が高額だったりすると、この平均額が上がり、結果として1年間高い保険料を払い続けることになるのはこの仕組みのためです。

② 随時改定(給与が大きく変わった時)

昇給や降給で「固定給」が変動し、その後3ヶ月間の平均給与が、現在のランクと比べて2等級以上変わった場合に行われます。昇進した数ヶ月後に通知書が届くのはこのためです。

③ 資格取得時(入社時)

入社直後は、まだ実績がないため「予定される給与額」をもとに最初のランクを決定します。

3. ランク(等級)が変わるメリット・デメリット

「標準報酬月額が上がってしまった!」と嘆く声をよく聞きますが、実は悪いことばかりではありません。等級の上下には明確なトレードオフがあります。

項目 ランクが上がると... ランクが下がると...
毎月の手取り 減る(保険料UPのため) 増える(保険料DOWNのため)
将来の年金 増える(老齢厚生年金UP) 減る
傷病手当金 増える(休職時の給付金) 減る
出産手当金 増える(産休中の給付金) 減る

つまり、「現在の負担増」は「将来や万が一の保障の拡充」とセットになっているのです。

4. 【重要】「常勤」の証明として使える理由

ローン審査や賃貸契約、あるいは転職時のバックグラウンドチェックなどで「常勤(フルタイム)であることの証明」を求められることがあります。
実は、この標準報酬決定通知書は、「常勤証明」として非常に強力な効力を持ちます。

なぜ証明になるのか?

通知書には「正社員」とは書いてありません。しかし、社会保険に加入していること自体が以下の事実を客観的に証明します。

社会保険の加入要件(一般):
1週間の所定労働時間および1ヶ月の所定労働日数が、同事業所の正社員の「4分の3以上」であること。

つまり、この書類があるということは、「少なくとも正社員の4分の3以上勤務している(ほぼフルタイムである)」という動かぬ証拠になるのです。審査担当者は、書類の「標準報酬月額(給与ランク)」の金額を見て、それが一般的なフルタイム給与の水準であれば、安定した雇用形態であると判断します。

いつの証明になる?

例えば「令和6年9月決定」の通知書の場合:

  • 過去の証明: 令和6年4月〜6月は確実に勤務していた(実績)
  • 在籍の証明: 令和6年9月1日時点では確実に在籍していた

※あくまで決定時点の記録なので、提出日が発行日から数ヶ月経っている場合は、「直近の給与明細」とセットで出すことで「現在も継続して働いている」ことを完璧に証明できます。

5. 高齢の社員(70歳以上)の場合はどうなる?

定年延長や再雇用で高齢になっても働いている場合、この通知書の発行はどうなるのでしょうか?年齢によって扱いが少し変わります。

① 70歳までは「通常通り」

69歳までは、現役世代と全く同じ「標準報酬決定通知書」が発行され、健康保険・厚生年金の両方の等級が記載されます。

② 70歳〜74歳は「相当額のお知らせ」

70歳になると厚生年金の加入資格を失い、保険料の支払いはなくなります。しかし、会社には「70歳以上被用者 標準報酬月額相当額のお知らせ」という書類が届きます。

これは、「もし加入していたらこのランク」という金額を示すもので、働きながら年金をもらう際の調整(在職老齢年金)の計算に使われます。健康保険は通常通り記載されます。

③ 75歳以上は「健康保険」も消える

75歳になると、会社の健康保険から「後期高齢者医療制度」へ移行するため、通知書から健康保険の欄もなくなります。
しかし、「厚生年金の相当額のお知らせ」だけは、働いている限り年齢上限なく発行され続けます。
これにより、75歳を超えても「会社に雇用されている」という証明は可能です。

6. 通知書が手元にない時は?

「見た記憶がない」という方もいるかもしれません。この通知書は、国から個人宅へ郵送されるものではなく、会社に届き、会社から従業員へ渡されるものだからです。

  • まだ会社が配布していない
  • 給与明細の備考欄に記載して済ませている
  • Web給与明細システムの中にPDFで格納されている

上記の可能性があります。もし原本やコピーが必要な場合は、会社の総務・人事担当者に依頼すれば発行(またはコピー)をもらえます。

まとめ

標準報酬決定通知書は、単なる「保険料のお知らせ」にとどまらず、あなたのキャリアの実績を証明する大切な書類です。

受け取ったら、まずは金額に間違いがないかを確認し、できれば1年間(次の通知が来るまで)は保管しておくことをおすすめします。いざという時の「在籍証明」「収入証明」として、きっと役に立つはずです。

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