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2025.12.08

法人の取締役は、技人国ビザを取るのはむずかしい?

法人の外国人取締役が「技人国ビザ」を取得するのは難しい?

法人の取締役である外国人が、経営・管理ビザではなく「技術・人文知識・国際業務(いわゆる技人国)」で在留資格を取得することは可能なのでしょうか?

結論から言うと、条件次第で可能ですが、ハードルは高くなります。

結論:条件付きで可能

法人の取締役である外国人が技人国で在留資格を取ることは可能ですが、「雇用契約に基づき専門業務を行うこと」が前提です。
経営者としての立場(経営指示・役員権限)ではなく、あくまで従業員として専門職務(IT、通訳、マーケティング等)に従事する立場であることが明確に求められます。

1. 審査される4つの重要ポイント

入管の審査では、主に以下の観点で「経営者」なのか「専門職(労働者)」なのかが判断されます。

観点 技人国で問題になる点
業務内容 役員としての経営判断・指揮監督が中心だと不可。
事務・翻訳・IT技術・マーケティングなど専門業務が中心なら可。
経歴の一致 大卒(学歴)または10年以上の実務経験が、担当する業務内容と一致していることが必要。
給与水準 日本人が同様の職務につく場合と同等額(一般的に月額20~25万円以上)。役員報酬という形でも可だが、金額の妥当性が必要。
契約の実態 法人から給与を受け、実質的な労働契約関係にあること。完全な「経営者扱い」だと不可。

2. 「許可されるケース」と「不許可になるケース」

▼ 技人国が通りやすいケース

  • 外国人が役員登記されているが、本業務はITエンジニア・通訳・マーケティング等の実務である。
  • 給与体系が社員型(勤務時間管理があり、労働管理、課税処理が従業員と同様)。
  • 専門性の証明ができる(大学専攻や職歴との合致)。
  • 【例】中国人役員兼マーケティング担当 → 日中貿易の市場調査・翻訳がメイン業務。

▼ 難しい・認められないケース

  • 名目は技術職・事務職だが、実態は経営者として活動している。
  • 勤務時間の定めがなく、労働契約もない、自由裁量の社長型役員。
  • 法人の設立者であり、代表取締役として事業運営が主業務。
  • 【例】自分で会社を設立し、自分が代表取締役。実務より経営指揮が中心 → 「経営・管理ビザ」へ変更が必要。

3. 技人国 vs 経営・管理ビザ 比較表

どちらのビザを選ぶべきか、判断基準を整理しました。(筆者の感触です)

項目 技術・人文知識・国際業務 経営・管理
主体 従業員として働く人(専門職) 経営者・役員(経営の主体)
主な要件 業務内容 + 学歴/実務経験 会社規模(資本金500万以上、事務所確保など)
在留ハードル 実務内容次第では比較的通りやすい 書類・要件が厳格(特に2025年以降厳格化の傾向)

① 判定フローチャート

  • Q1. 会社の意思決定権(代表権・業務執行権)はあるか?
    • YES → 原則「経営・管理」で申請
    • NO → Q2へ
  • Q2. 実務の主体が専門業務か?(IT・翻訳・法務・経理など)
    • YES → 「技術・人文知識・国際業務」で検討可
    • NO → リスク高(経営・管理を検討)

② 職務内容書(専門職としての説明フォーマット)

一般的な職務内容書に加え、役員としての権限がないことを明記します。

【職務内容書】

氏名:__________(申請者氏名)
役職:取締役(業務執行権なし/管理意思決定権なし)

1.担当業務の概要
本件従事者は、当社の__部門において、以下の専門業務に従事する。
(例:海外顧客対応・国際法務文書作成・越境ECマーケティングなど)

2.具体的業務内容
① ____________________
② ____________________
※業務の性質は「技術・人文知識・国際業務」の範囲に該当。

3.業務遂行上求められる知識・技能
・____________________(専攻・職歴との整合)

4.補足事項
本申請者は登記事項上「取締役」として登録されているが、
会社全体の意思決定・経営戦略策定等の経営業務は行わない。
役員権限は限定的であり、実務は専門職としての勤務が中心である。

提出者:〇〇株式会社 代表取締役

③ 役員権限制限説明書(重要)

これが「経営・管理」ではないことの決定的な疎明資料になります。

【役員権限に関する説明書】

申請者:_________(氏名)

本申請者の役員としての立場は以下のとおりである。

・代表権       :無し
・業務執行権     :無し
・人事権/採用決定権 :無し
・事業戦略・経営判断 :参加しない

本申請者の登記上の役職は、対外的な信用保持・取引関係上の形式的なものであり、
実際の業務は技術・人文知識・国際業務分野の専門業務が中心である。

〇〇株式会社 代表取締役

「取締役=経営・管理ビザ」という固定観念がありますが、実態が専門職(エンジニア、通訳、スペシャリスト)であれば、技人国ビザでの許可は十分に可能性があると思います。

ただし、特に「代表取締役」の場合は技人国での取得は極めて困難らしいので、その場合は素直に「経営・管理ビザ」の要件を満たす方向になるでしょう。

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