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2025.12.13

一人親方・個人事業主の社会保険加入義務は?建設業許可との関係を大阪の行政書士が解説

さとみ(行政書士)

ゆうた君、久しぶり!仕事の調子はどう?この前、独立して一人親方になったって聞いたけど。

ゆうた(建設業・一人親方)

おー、さとみさん!それがさ、ちょっと困ってて…。元請けさんから「社会保険に入ってないと現場に入れなくなるぞ」とか「建設業許可を取るなら保険は必須だ」って言われたんだよ。

さとみ

なるほどね。最近は建設業界全体で社会保険加入のチェックが厳しくなっているからね。でも、ゆうた君は今、従業員を雇わずに一人でやってるんだよね?

ゆうた

そうそう。自分ひとり。だから「会社の保険(厚生年金とか)」には入れないんじゃないの?って思ってさ。でも現場では「社保に入れ」の一点張りで…。どうすりゃいいの?

さとみ

その悩み、すごく多いのよ。実は「社会保険に加入している」という言葉の意味が、法人と個人事業主(一人親方)では少し違うの。ここを誤解していると、無駄な保険料を払ったり、逆に許可が取れなかったりするわ。

ゆうた

えっ、違うの?俺の場合はどうなるんだ?教えてくれよ、さとみ先生!

さとみ

任せて!一人親方や個人事業主がクリアすべき「適切な社会保険」の基準について、詳しく解説するわね。

一人親方・個人事業主の社会保険加入義務と建設業許可の関係

こんにちは。大阪府守口市を拠点に活動している行政書士です。
建設業界において、近年急速に進んでいるのが「社会保険未加入対策」です。
現場入場の制限や、建設業許可の要件化など、避けては通れない課題となっています。

しかし、個人事業主や一人親方の方からは、「自分は加入義務があるのか?」「何に入れば『加入』とみなされるのか?」といった戸惑いの声を多くいただきます。

今回は、建設業許可の申請手引き等の資料に基づき、個人事業主・一人親方の社会保険加入義務について徹底解説します。

1. 建設業許可における「社会保険加入」の要件化

まず大前提として、令和2年10月1日の建設業法改正により、建設業許可を取得・更新するためには、適切な社会保険への加入が必須要件となりました。

大阪府の手引きにも以下のように記載されています。

令和2年10月1日より社会保険等への加入が許可要件化されました。
申請者は、申請日時点で社会保険等(健康保険・厚生年金保険・雇用保険)に加入していることを要します。(適用除外であると認められる場合を除く)
[引用: 建設業許可申請の手引き P.2-17]

つまり、これから許可を取りたい人だけでなく、現在許可を持っている業者様も、更新のタイミング等で社会保険の加入状況がチェックされるということです。
未加入の場合は、原則として許可が下りない、あるいは更新ができないことになります。

2. 個人事業主における「適切な加入」とは?

ここで重要なのが、「事業形態によって入るべき保険が異なる」という点です。
元請け業者から「社会保険(社保)に入れ」と言われたとき、多くの人がイメージするのは「健康保険(協会けんぽ)」と「厚生年金」のセットですが、個人事業主の場合は必ずしもそうではありません。

従業員数による違い(適用事業所か否か)

個人事業主の場合、従業員の人数によって加入義務が変わります。

従業員数 健康保険・年金 雇用保険
5人以上 強制適用
(健康保険・厚生年金への加入義務あり)
1人でも雇えば適用
(事業主・同居親族は原則対象外)
5人未満 適用除外(任意)
(国民健康保険・国民年金でOK)
0人(一人親方) 適用除外
(国民健康保険・国民年金でOK)

大阪府の手引きでも以下のように説明されています。

  • 法人又は家族従業員を除く従業員が5人以上の個人事業主の場合は、原則適用事業所になります。[引用: 建設業許可申請の手引き P.2-18]
  • 雇用保険は、1人でも労働者を雇っている場合、法人、個人事業主の別なく適用事業所になります。[引用: 建設業許可申請の手引き P.2-18]

【ケース別】あなたが加入すべき保険はこれ!

ケースA:一人親方(従業員なし)

一人親方の場合、法人化していない限り、いわゆる「社会保険(協会けんぽ・厚生年金)」への加入義務はありません。また、自分自身は労働者ではないため「雇用保険」にも加入できません。

したがって、建設業許可上の「適切な保険」とは以下の状態を指します。

  • 医療保険: 国民健康保険(または建設国保など)
  • 年金保険: 国民年金
  • 雇用保険: 加入不要(適用除外)

この状態で、「適用除外」として建設業許可の申請が可能です。

ケースB:個人事業主(従業員3名)

従業員が5人未満の場合も、社会保険(健保・厚生年金)は「任意適用」となります。無理に加入する必要はありません(加入することも可能です)。

  • 医療保険: 事業主・従業員ともに国民健康保険(または建設国保)
  • 年金保険: 事業主・従業員ともに国民年金
  • 雇用保険: 従業員分について加入義務あり

この場合、健康保険・年金は「適用除外」扱いですが、雇用保険については加入手続き(労働保険の成立)が必要になります。

ケースC:個人事業主(従業員6名)

従業員が5人以上になると、個人事業であっても「強制適用事業所」となります。

  • 医療保険: 健康保険(協会けんぽ等)への加入必須
  • 年金保険: 厚生年金への加入必須
  • 雇用保険: 加入必須

※ただし、建設業など一部の業種については例外規定がある場合もありますが、基本的には加入指導の対象となります。

3. 建設業許可申請時の確認書類

では、実際に大阪府知事許可を申請する際、どのように証明すればよいのでしょうか。
令和2年10月1日以降、確認資料は「提示」ではなく「提出」となりました。[引用: 建設業許可申請の手引き P.2-17]

(1) 健康保険・厚生年金保険の確認書類

加入している場合(適用事業所)は、以下のいずれかの写しを提出します。

  • 納入告知書 納付書・領収証書
  • 社会保険料納入確認(申請)書
  • 健康保険・厚生年金保険被保険者標準報酬決定通知書 など

【重要】適用除外(一人親方など)の場合
国民健康保険証や国民年金の領収書の提出は原則不要です。申請書の「健康保険等の加入状況(様式第七号の三)」という書類にて、「適用除外」を選択して自己申告することになります。
ただし、明らかに加入義務があるのに未加入である疑いがある場合などは、別途説明や確認を求められることがあります。

(2) 雇用保険の確認書類

従業員を雇っている場合は、以下のいずれかの写しが必要です。

  • 労働保険概算・確定保険料申告書(控え)及び領収済通知書
  • 労働保険料等納入通知書 及び 領収済通知書

一人親方や、同居の親族のみで事業を行っている場合は、雇用保険も「適用除外」となりますので、加入書類の提出は不要です。[引用: 建設業許可申請の手引き P.2-18]

4. よくある誤解と注意点

Q. 建設国保(土建国保など)に入っていればOK?

A. 個人事業主ならOK、法人なら要確認です。
個人事業主の場合、建設国保に加入していれば「適切な医療保険」に加入しているとみなされます。
法人の場合や、従業員5人以上の個人事業主の場合でも、年金事務所の「適用除外承認」を受けていれば、健康保険は建設国保、年金は厚生年金という組み合わせが認められます。[引用: 建設業許可申請の手引き P.2-18]

Q. 一人親方だけど、現場で「グリーンサイト」等に登録する際、保険証の提示を求められます。

A. 国民健康保険証を提示してください。
一人親方であれば、国民健康保険被保険者証が証明書類となります。また、年金については国民年金手帳や納付書が証明になります。
最近は「建設キャリアアップシステム(CCUS)」への登録が進んでいますが、ここでも一人親方として登録する場合、国保・国民年金での登録が認められています。

Q. 法人化(法人成り)したらどうなりますか?

A. 社長1人でも社会保険への加入が必須になります。
ここが個人事業主との大きな違いです。法人化すると、たとえ社長一人の会社であっても、健康保険(協会けんぽ)と厚生年金への加入義務が発生します。
建設業許可を持っている個人事業主が法人化(法人成り)する場合、個人での許可を廃業し、新たに法人として新規許可を取る必要があります(または認可申請による承継)。その際、社会保険の加入確認書類(標準報酬決定通知書等)の提出が必須となります。

5. 変更があった場合の届出を忘れずに!

建設業許可取得後に、社会保険の加入状況が変わった場合はどうすればよいでしょうか?
例えば、以下のようなケースです。

  • 個人事業で従業員が4人から5人に増え、社会保険に加入した。
  • 従業員を初めて雇い入れ、雇用保険に加入した。
  • 逆に、従業員がいなくなり、雇用保険を抜けた。

このような場合、「事実発生後14日以内」に届出が必要です。[引用: 変更届の手引き P.2-29]

【提出書類】

  • 変更届出書(様式第22号の2)
  • 健康保険等の加入状況(様式第7号の3)
  • 保険番号の確認書類(領収書や決定通知書の写し)

特に、従業員数のみの増減であれば毎年の「決算変更届」での報告で足りますが、「加入⇔適用除外」のような区分の変更があった場合は、都度変更届が必要ですのでご注意ください。

6. まとめ:一人親方・個人事業主の方へ

建設業許可と社会保険の関係について、個人事業主(一人親方)のポイントを整理します。

  1. 一人親方・従業員4人以下の個人事業主
    → 国民健康保険・国民年金で「適切に加入している(適用除外)」とみなされます。
    → 建設業許可は問題なく取得可能です。
  2. 従業員5人以上の個人事業主
    → 健康保険・厚生年金への加入義務があります。未加入だと許可申請が通りません。
  3. 従業員を1人でも雇っている場合
    → 雇用保険の加入義務があります。
  4. 法人化した場合
    → 社長1人でも社会保険加入が絶対条件です。

「自分はどのパターンになるのか?」「これから法人化を考えているが、コストはどうなるのか?」
建設業許可の取得や更新、法人化に伴う手続きでお悩みの方は、ぜひ専門家にご相談ください。

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